みなさんが思う、「最強」の妖怪は何ですか?
人それぞれ、好みや妖怪の持ち味によって異なることでしょう。
筆者にも、無数の妖怪の中で、最強と思う種は何体かいます。
今回ははし休め的なテーマとして、個人的に最強と思う妖怪を7体ご紹介させていただきます。
登場する妖怪は以下の通り。
- だいだらぼっち
- 鬼
- 酒呑童子(しゅてんどうじ)
- 大嶽丸(おおたけまる)
- ヤマタノオロチ
- 龍
- 玉藻前(たまものまえ)
私が設けている最強の基準は、大きさ・力の強さ・かっこよさ・凶暴さです。
では、いってみましょう!
最強妖怪はこいつだ!エントリーNo.1:だいだらぼっち

日本各地にあらわれる巨人
だいだらぼっち(デーダラボッチ)は、日本各地の伝承に登場する巨人です。
神出鬼没で、現れた場所あちこちに山や湖をつくりました。
名前の由来:漢字では「大太郎法師」と当てています。
一寸法師の反対の意味で、「大人」(おおひと、巨人)を示しています。
大きさ:山よりもうんと大きい。
逸話・伝説
だいだらぼっちはその巨体から、ふつう私たちには届かない山頂や海の底に簡単に手足が届きます。
彼にとっては窮屈だったようで、屈んだ拍子にその足跡が沼になったり、盛り土をして山をつくりました。
彼のふるまいから生まれた「山作・湖産み伝説」をご紹介します。
山づくり
デカい体の取り扱いに困った結果の伝説
巨体ゆえに無敵かつ平和な生活
最強と思う理由
山より巨大なので、力は圧倒的に強いと思いました。
ただ、だいだらぼっちは闘うというよりうろうろ動いていろんなところに足跡を残しています。
もし戦闘になったらどう手腕をふるうのか、未知の強さに期待をこめて取り上げました。
最強妖怪はこいつだ!エントリーNo.2:鬼

おとぎ話ではたいていラスボスとして登場
妖怪としては誰もが想像がつく、馴染みある怪物です。
赤鬼や青鬼といった金棒をかついだ怪物というより、元々は人間の怨念や邪気を言い表しました。
逸話・伝説
鬼は日本各地にいましたので、その種類から伝説まで物語もさまざまです。
今回は「青鬼」と「鬼ヶ島の鬼」のお話をご紹介します。
最強と思う理由
鬼はもともと力が強いイメージがあります。
基本的におとぎ話の主人公と格闘したり、妖怪の軍を率いたりしています。
妖怪の中でも戦好きで非常に乱暴といえるでしょう。
最強妖怪はこいつだ!エントリーNo.3:酒呑童子

日本三大妖怪にも数えられる、酔っ払いの鬼頭
鬼の仲間です。丹波国(京都)の妖怪で、大江山に住みついていました。
たくさんの鬼を従えていて、鬼のマフィアの大将でした。
酒呑童子はたびたび町に降りては人々をさらい、その命を奪いました。
逸話・伝説
奈良に酒呑童子につながる伝説があります。
白毫寺(びゃくごうじ)という寺に、異常な行動をする子どもが住んでいました。
その子は夜になると、人を襲って食べていたのです。
この子どもが、のちに酒呑童子になったと言われています。
青森でも酒呑童子の一端を見ることができます。
のみやしらみは酒呑童子が殺された時の血が化けたものだと考えられています。
最強と思う理由
鬼の仲間ということもありますが、日本三大妖怪に数えられているので最強だろうと思いました。
何より鬼軍団のボスということが、最強妖怪としての決め手になっています。
最強妖怪はこいつだ!エントリーNo.4:大嶽丸
日本三大妖怪の一人。阿鼻叫喚レベルの鬼神
鬼の仲間で、「鬼神魔王」とたたえられるほど凶悪な妖怪です。
伊勢鈴鹿山に住みつき、悪行に悪行を重ねました。
おとぎ話のヒーロー、坂上田村麻呂とその妻・鈴鹿御前と因縁の関係にあります。
姿:美男子に化けることもありますが、実体は30mの巨大な鬼です。
文献:『田村』、『鈴鹿の草子』、『田村の草子』
時代:平安時代(桓武天皇の治世で、700年代)
能力:腕っぷしに加え、魔術や呪術も操れます。
暴風雨や雷など、自然現象を自在に操作して人間を苦しめます。
大嶽丸は鈴鹿山を根城とし、鈴鹿峠を行き交う人々を襲っていました。
田村麻呂は、この鬼神を撃退せよという命を受け、軍を率いて山へと向かいます。
また、鈴鹿山には大嶽丸以外に天女の鈴鹿御前も暮らしていました。
鈴鹿御前は非常に美しく、大嶽丸は悪神でありながら彼女に心惹かれました。
美形の男に変身しては、鈴鹿御前の元に夜這いを仕掛けますが、ことごとく失敗します。
一方、田村麻呂は鬼神の居所を把握できずにいました。
そこで観世音菩薩に助けを求め、「鈴鹿御前の元を訪ね、彼女とともに大嶽丸を倒しなさい」と啓示を受けます。
田村麻呂は一人で鈴鹿御前の家に足を運び、協力を願いました。
二人は自然の流れで結ばれ、夫婦となります。
妻は田村麻呂のために力となることを約束しました。
大嶽丸を倒すには、「三明の剣」という魔剣を奪う必要がありました。
鈴鹿御前はある作戦を立てます。
その日も、美男に化けた大嶽丸が天女の家を訪れました。
鈴鹿御前は大嶽丸を受け入れるふりをして、「田村麻呂という将軍に殺されそうだから、あなたの魔剣を盾としてこの家に置かせてほしい」とうその要求をします。
鬼神は気分よく大通連と小通連という刀二つを預けたのでした。
翌日、なりを潜めていた田村麻呂は大嶽丸の前に立ちはだかります。
将軍と鬼神は死闘を繰り広げ、大嶽丸は強大な力をもってして対抗します。
しかし、妻と千手観音、毘沙門天の霊力に守られて、田村麻呂はなんとか勝利をおさめたのでした。
大嶽丸は首を切られて死にますが、蘇生術を使って復活します。
再び日本に攻め入り、人々を脅威に陥れました。
しかし、田村麻呂夫妻によってその野望は打ち砕かれます。
またも首をはねられ、大嶽丸の死骸は三大妖怪(酒呑童子・九尾の狐)とともに平等院(京都)に保管されました。
最強と思う理由
三大妖怪という要素もそうですが、城(鬼が城といいます)を持って一つの山を支配していたのはほかの妖怪にはない点です。
地獄の神から魔剣を贈られたり、妖術が使えたりするところは、さすが鬼神。
上級妖怪に位置するだけあるなと思いました。
また、恋愛においても、鈴鹿御前にフラれても迫るところは鬼神らしいです。
最強妖怪はこいつだ!エントリーNo.5:ヤマタノオロチ

見た目の気持ち悪さは最強というより最恐
「古事記」「日本書紀」に登場する大妖怪です。
スサノオノミコトに退治されるラスボス的大蛇。
お酒にはめっぽう弱いのが玉にキズです。
姿:体にはコケが生い茂り、ひのきや杉も生えています。
お腹には常に血が流れ出ていて、止まることがありません。
胴体には八つのしっぽと頭が生えています。
大きさ:「八つの谷」「八つの尾根」にまたがるほど大きいです。
場所:斐伊川、天ヶ淵。そこにはヤマタノオロチの8本の首を埋めたとされる八本杉が自生しています。
スサノオノミコトは高天原を追われ、出雲の斐伊川に降り立ちます。
そこで足名椎・手名椎と出会い、彼らの娘・櫛名田比売がヤマタノオロチのいけにえになることを知ります。
大蛇を退治するため、スサノオノミコトはヤマタノオロチをおびきだして大量に飲酒させます。
大蛇が泥酔したところを見計らって、剣を振り下ろしたのでした。
大蛇のしっぽを切ると、名剣・草薙の剣が現れました。
最強と思う理由
見た目のエグさに惹きつけられました。
8つも頭としっぽがあるなんて、最凶キャラ以外の何ものでもありません。
ただ、酒に弱いところをあっさり突かれたのは、唯一の落ち度といえます。
最強妖怪はこいつだ!エントリーNo.6:龍

神としてあがめられ、天かける姿は人々を魅了
龍は妖怪というより神様に近いです。
古代から信仰され、その存在は皇帝や王など権力者の象徴とされました。
威厳があるだけでなく、空を舞う姿は目を見張るほど美しいです。
今でも龍のパワーはいろいろなところに残っていて、私たちにとって身近な神様といえます。
姿:あらゆる動物の要素から成り立っています。
- 頭はらくだ
- 角はシカ
- 目は鬼
- 耳は牛
- うなじはヘビ
- 腹は大蛇
- うろこはコイ
- 爪はタカ
- 手のひらはトラ
すみか:川や湖、海など
能力:水神としての性質が強く、雨や雷を操ります。
時代・地域:古代中国で発生し、日本に伝わって、蛇神信仰と結びつきました。
龍のはじまりは紀元前5000年前にまでさかのぼることができます。
最強と思う理由
神という絶対的な立場から、特別強いことがわかります。
また、四神の青龍のように、龍神はとにかく派手でかっこいいのです。
マンガやゲームでも親しまれていますし、お寺に行けば龍を施した装飾品が見られますよね。
これほど日常に浸透した妖怪はほかにいないと思うのです。
最強妖怪はこいつだ!エントリーNo.7:玉藻前

日本三大妖怪の一つで、天皇に愛された悪狐
いわゆる九尾の狐で、中国の王様や日本の天皇を惑わしたとても性悪な大妖怪です。
別名は「金毛九尾の狐」。
妖魔である一方、強い霊力をもっていたことから神としても信仰されています。
(栃木の玉藻の前稲荷神社や岡山・真庭市の玉雲宮などでまつられています)
文献:謡曲『殺生石』/『絵本三国妖婦伝』
能力:美女に化けることができます。九尾の狐が化けたのは、以下の女性たちとされます。
- インドのマガダ国王妃・華陽(かよう)夫人
- 中国殷の王妃・妲己(だっき)、周の姫・褒姒(ほうじ)
- 日本の女官・玉藻前
振る舞い:美しい妃となり、アジアを中心とした国々の権力者をたぶらかしました。
その目的は、国政を乱して国の崩壊を招くことでした。
後から追いついた使いの武士に退治されますが、狐の怨念は残って石となりました。
恐ろしい狐の念を宿した石は、邪気に満ちています。
命あるものは(鳥でも草木でも)その生気を吸い取られました。
その後、会津の玄翁(げんのう)心昭という僧侶が、石を壊してしまいます。
九尾の狐はようやく成仏し、天に昇ったのでした。
最強と思う理由
日本三大妖怪という点、美人にふんして王様のハートを次々と奪う点に注目しました。
狐ではありますが、女性に変身することが多いので、最凶悪女ともいえるんじゃないかと思います。
まとめ
妖怪によっては、「本当に最強っていえるの?」と思われるかもしれません。
それは、裏を返せば「人によって強さの基準は違う」ということ。
妖怪に限らず、人間だって「何をもって最強とするか」で変わってきますよね。
つまり、「みんなちがって、みんないい」んです(強引な理由づけ)
あなたの最強妖怪データベースに少しでも加えていただけますように!