狼は、古くから神の使い(もしくは神そのもの)として崇められてきました。
群れで生活し、高い知性を持った動物のひとつです。
実際に狼の神様でどんなものがいるか知っていますか?
人気は高いのにその詳細は謎に包まれた、狼神について特集します!
日本の狼神は、真神(まかみ)

日本に存在した狼神は、「真神」という神です。
現在は絶滅したといわれる、ニホンオオカミを神格化したものです。
真神のプロフィール
別名:大口真神(おおくちのまがみ、おおぐちまかみ)/御神犬
ふるまい(人との関係):聖獣(とうとく不思議な力をもったけもの)であることから、神として厚い信仰を得てきました。
正しい行いをする人を守り、悪い行いを働く人は厳しく罰しました。
出現期:8世紀(大和国風土記)
地域:奈良県
特殊能力:人間の言葉がわかり、善人と悪人を判別する能力を持っています。
また、聖獣としての性質から、災厄を払いのける力もあります。
逸話・伝説など:
狼神の種類
日本には、「真神」様だけでなく「オイヌさま」という狼神も存在しています。
呼び名が「イヌ」なので、「単純に犬の神様なのかな?」という印象ですよね。
オイヌさまも、狼を神格化した存在です。
くわえて、狼は世界でも広く信仰され、さまざまな狼神がいるのでご紹介します。
日本
オイヌさま
ふるまい:真神とほぼ共通していて、聖獣として人々から崇められていました。
山で多く遭遇することから、山神の使いともいわれています。
出現期:ヤマトタケルノミコト東征より
地域:埼玉県秩父地方、東京都青梅市、静岡県、京都府ほか
容姿:ヤマトタケルノミコトが出会った狼は、白狼でした。
特殊能力:真神と同様の力を持っています。
逸話・伝説など:
地域:東京都青梅市 武蔵野御嶽神社
世界

アセナ
テュルク神話に登場するメスの狼神です。子どもを10人生んだとされます。
あるいは、10人の子どもの一人を指すともいわれています。
トルコでは国章のシンボルマークとして使われるほど重要な存在で、今でも厚い信仰を集めています。
地域:トルコやロシアなど、中央アジア全域
出現期:テュルク神話(トルコ系民族やアラブ系民族に伝わる神話)
容姿:青空のような色のたてがみが特徴の狼です。
特殊能力:傷や病気を癒す治癒能力に優れているようです。
逸話・伝説など:
ウプウアウト

名前の意味:「道を切り開く者」
地域:エジプト、アスユート
出現期:エジプト後期の神話
ふるまい:名前の意味どおり、国軍が進軍する際の適切な道を教え示し、道しるべとなりました。
戦いの神としての顔もあわせ持ち、戦の概念から派生して死とも結びついています。
亡くなったものの魂をあの世に導く役割を持っています。
特殊能力:高い狩猟能力を持ち、ファラオ(王)の狩りに付き合っては神速級の鋭敏さを見せました。
容姿:アヌビス(エジプトの神の一つ)と同一視されて、頭だけが狼かジャッカルの人間という姿として描かれています。
ゲリとフレキ
北欧神話に登場する神の使いで、最高神オーディンに仕えます。
双子の狼で、両者の名前にはともに「貪欲なもの」という意味があります。
北欧神話を取り扱った書物『散文のエッダ』では、飼い主であるオーディンは食事を必要とせず、その食べ物を狼たちに与えたと書かれています。
地域:スカンジナビア(北欧)
出現期:北欧神話
まとめ
調べてみると、狼は、日本をはじめヨーロッパやエジプトなど、幅広く信仰されていました。
聖獣というテーマに絞りましたが、狼の中には聖獣ではなく怪物で人々の生活を害するものもいました。
みなさんにとってお気に入りの狼神が見つかりますように!