妖怪というと、日本か中国のイメージが強いかもしれません。
一方で海外(特に西洋)に目を向けてみると、妖怪にあたるゴーストやゴブリンがごろごろといます。私たちにはゲームや漫画でお馴染みの雑魚キャラですよね?
この記事では西洋、特に日本でも馴染みのあるハロウィーン、ゲームや漫画でよく目にする女性の妖怪をご紹介します。怖さより楽しさを重視してピックアップしました。
西洋の妖怪:おもな妖怪の種類
西洋の妖怪をざっと把握したいとき、グループごとに分けると便利です。
ここでは、人間の心を惑わすもの、逆に友好的なものなど、妖怪の性質は考慮していません。
種族は、大きく分けて「亜人・獣人」「妖精族」「魔族」「巨人族」になります。
次に、それぞれの種族の特徴を簡単にまとめています。
人に似た人でないものたち:亜人・獣人
「亜人」とは、「人でないもの」を意味します。
その外見は人に似ながら、細かい部分が異なっているのが特徴です。小人もこの亜人に属します。
容姿に限らず、ふつう私たち人間が持ち得ないような特殊能力や高い身体能力を備えています。
「獣人」は、漫画などで半身半獣と表現されるように、上・下半身はどちらかが人の身です。
あとは動物のかたちをしています。
代表的な獣人は、人魚のセイレーンやケンタウロスなど。
かわいいものとみにくいものがごちゃ混ぜ:妖精

妖精は、妖怪との線引きが曖昧ですが、日本でいう「妖怪」の概念にもっとも近いです。
ほかの妖怪に比べて、かわいかったり美しいイメージがありますが、醜い外見のものもいます。
また、性格は外見に反して気まぐれ・いたずら好きで、人間を化かすこともあります。
ダークヒーローもしくはボスキャラでお馴染み:魔族

画像出典:いらすとや(https://www.irasutoya.com/)
魔族は、イメージがはっきりしています。
人に害を与えるものたちで、ソロモンが使役した悪魔や鬼、天狗などが挙げられます。
特に、悪魔はキリスト教の影響を強く受けていて、ヨーロッパでは中世以降の魔女もここから始まっています。
謎が多いけれど大昔からお馴染み?:巨人

画像出典:いらすとや(https://www.irasutoya.com/)
巨人は、ほかの妖怪とは違って特殊な立場にあります。
日本を含め(だいだらぼっち)、世界各地の先住民の創世神話に登場し、国づくりにかかわっています。
大昔の人々は、大きいものを神様のようだとしてあがめていました。
もちろん、人を襲う凶悪な巨人もいます。
妖怪のグループをおさえたところで、次から特に興味深く魅力的な西洋の妖怪をご紹介してまいります♪
ハロウィーンの妖怪:カボチャ、狼男、フランケンシュタインetc.

ハロウィーンは、日本では若い人を中心に、大規模なコスプレイベントとして定着しています。
もともとは、アイルランドを中心とした古代ケルト人が行っていた死者をとむらう行事でした。西洋版お盆といえますね。
10月31日は、亡くなった人の魂が地上に降りてくるので、妖怪が現れたっておかしくありません。
では、ハロウィーンに関係する、一度は目にしたことがある妖怪たちを見ていきましょう。
ハロウィーンの代名詞:ジャック・オ・ランターン
ハロウィーンの代名詞といえる妖怪ですね。
コスプレからお店に売り出される商品などに、必ずといっていいほど見ることができます。
起源はアイルランドで、ジャックという男が持っていたカボチャの提灯だとされています。
これは鬼火や狐日の仲間になります。
普段はフツーの男、満月に変ー身!:狼男

スター歌手のマイケルジャクソンの大ヒット曲でもお馴染みです。
普段は普通の人間として生活していますが、満月の夜に狼へと変貌します。
その姿は完全な動物の狼というよりは、人間の状態を保ったまま顔や手に毛がぼうぼうに生え、鋭いキバが現れます。
好物は人間で、撃退しようとしても月が雲に覆われてしまえば通常の姿(人間)に戻ります。
仕留めるには、十字架を溶かして作った銃弾でないといけません。
イケメン化で女性にも人気:ドラキュラ

こちらもハロウィーンではお馴染み。
ブラムストーカーの小説『吸血鬼ドラキュラ』から始まりました。
吸血鬼(バンパイア)の仲間で、普段の姿は黒いマントを身にまとった人間の男性です。
そのマントを広げると、大きなコウモリに変身します。
好物は生きた人間の血で、おとぎ話などでは若い女性の血を好むともされます。
血を吸われた人は、自身も吸血鬼となって、なおかつドラキュラの配下にならなければなりません。
ドラキュラは夜行性で、朝日の光をひどく嫌います。
一般的なバンパイアは棺桶で眠っているときに銃弾を仕込まれると死にますが、ドラキュラは撃たれても死にません。
彼の弱点は十字架で、真正面から突き付けられると灰と化して消えてしまいます。
包帯ぐるぐる巻きの死体おばけ:マミー
知らないと、「お母さん(Mummy)が妖怪!?」と勘違いしそうなこの名前。
エジプトのミイラを起源にもつ妖怪です。
古代エジプトでは、死んだ魂は再び肉体に宿るという考えの元、死体を乾燥させて保存する風習がありました。
この風習がめぐりめぐって、普通の人間として生きることができない怪物になっていったのです。
ちなみに、1940年代、エジプトのピラミッドにミイラの探索に入った学者や冒険家がたびたび行方不明になる事件がありました。
怪力の人造人間:フランケンシュタイン

映画『フランケンシュタイン』でお馴染みの妖怪です。
巨大な男の姿をしていて、複数の死体をつなぎ合わせて出来ています。
生みの親はフランケンシュタイン博士で、つくった当初は良いことをさせる目的でした。
しかし、その意思とは反対に当のフランケンシュタインは悪事を重ねていきます。
恐ろしい外見であることから、出会う人すべてに怖がられ殺人にも手を染めてしまいます。
映画では心優しい少女との交流を通して、純粋さを取り戻すシーンもあります。
ただひたすら怖いダークマスター:死神
英語では「Grim Reaper」といいます。
真っ黒なローブを着た骸骨で、その手には大鎌を抱えています。
下半身はなく、宙に浮遊して移動します。
一般的なイメージは人間に忍び寄り、鎌をふるって魂を刈る(殺す)ものです。
死にたくない場合、他の人の魂(命)をささげなければいけません。
いっぽうで、悪魔的ではなく神の使いとして扱われることもあります。
その役割は、死期が迫った人が死んだ後に現世をさまよわないよう冥府(あの世)へ導くのです。
美少女になったり老女になったりする:魔女

アニメや漫画では美女として描かれることもありますが、一般的には三角帽子(エナン)に、かぎ鼻のおばあさんのイメージです。
人間なので、「妖怪なの?」と思うところ。
実は魔王に従い悪魔と契約を交わしているので、妖怪も同然といえます。
キリスト教の思想が色濃く影響している存在でもあります。
中世には魔女狩りと称して罪のない女性や老人が一斉に処刑されました。
魔女は魔王の配下になると超能力を得て、ほうきに乗って空を飛べるようになります。
恋に生きる女性の妖怪たち
ここでは人間の女性によく似た姿の妖怪に絞っています。
西洋のファンタジーに出てくる女性の妖怪は、きわめて美しいものか醜いもののふたつであることが多いです。
おとぎ話では、女性妖怪の大半は人間の男性と恋に落ちて、結婚して子どもをもうけています。
いまでこそ美形の妖怪は漫画のおかげでお馴染みとなりました。
サブカルチャーがなかった時代の、うるわしの(あるいは鬼こわい)妖怪を見ていきましょう。
片胸を切り落とした肉食女子:アマゾーン/アマゾネス
ギリシャ神話に登場する、女性だけで組織された戦闘種族です。
アマゾーンは「亜人」の一種で、非常に高い戦闘能力を持っています。
川の「アマゾン」と混同しそうですが、名前の由来は「闘うのに胸が妨げとなるため片方の乳房を取り除いた」ことから来ています。
乗馬や弓矢に長け、神話の中ではしばしば著名な英雄たちと争っています。
強いうえに相当な美女だったので、さまざまな男神や王が倒される一方で心を奪われました。
翼の生えた人魚:セイレーン
獣人で、人魚の仲間です。
背中には鳥の翼が生えています。
住みかは人気のない孤島で、船乗りたちがセイレーンがいる場所を通るさい、美しい歌で彼らの心を惑わします。
惑わすだけでなく、彼らを食い殺してしまうのです。
よく似ているマーメイド(人魚)は、金髪の若い美女で、ハープを奏でて船乗りたちを誘惑します。
頭がへびの女:ゴルゴン
ギリシャ神話に登場する、へびの頭をした怪物3姉妹です。
メデューサは知っていますか?彼女はこの怪物姉妹の三女なんです。
3姉妹(ステンノ、エウリュアレ、メデューサ)は、もとは人間の少女でした。
姉妹は美少女と評判で、特に一番美しかったメデューサは、海神ポセイドンの愛人となります。
女神アテナの神殿で交わったことで、主アテナの怒りを買います。
アテナによって、メデューサはおどろおどろしい怪物に姿を変えられてしまいます。
その呪いは姉たちにも及び、姉妹は森深くの寂れた館に身を隠すのでした。
ゴルゴンの右目には不思議な力があり、視界に入ったものを石に変えてしまいます。
風をあやつる美しき乙女:シルフ
四大元素(火・土・風・水)のうち、風の精霊です。
四大元素は、中世ヨーロッパにおいて、錬金術の重要な基礎をなした考え方です。
精霊は人間と違って魂がなく、人と恋に落ちてそれが実ることで魂を得られます。
シルフは非常に美しい乙女の姿をしていて、そよ風が吹いたらそれはシルフの声だと言われます。
シルフは魂を欲しているため、人への執着が強いのも特徴です。
いったん人を好きになると、愛情をたくさん注ぎます。
反面とても嫉妬深く、浮気などをしたらはげしく復しゅうされます。
水の世界のヒロイン:ウンディーネ
四大元素のうち、水をつかさどる精霊です。
シルフと同様、若く美しい少女として描かれます。
シルフ以上に人間との恋愛物語が多く、それはたいてい悲恋で終わっています。
ウンディーネが魂を得るには、恋に落ちるだけではなく相方の男性が浮気をしないことも重要でした。
もし相方がそれを破れば、ウンディーネ自身の手で彼を始末しなければなりません。
ある小説でのウンディーネは、人間界で騎士と恋に落ち魂を得ます。
結局は彼の心の変化で、ウンディーネは愛する人を手にかけざるをえないのでした。
森ガール系精霊:ヴィリイ
東ヨーロッパに伝わる、森の妖精です。
美しい若い女性の姿をしています。
植物や薬草に詳しく、仲良くなれば人間にさまざまな自然の知識を授けてくれます。
月夜にダンスするのが大好きなんですが、見られることを激しく嫌います。
その踊る姿をうっかり見てしまえば、特に男性は彼女が恋しくなり、ついには泣き果てて死んでしまうのです。
まとめ
西洋の妖怪には、亜人・獣人、妖精、魔族、巨人という種族があります。
それぞれに特徴があって、人間とのかかわりも違うんですね。
ハロウィーンでお馴染みの妖怪たちも、改めてとっても怖ーいことがわかりましたし。
女性によく似た妖怪は、もとが人間だったり、人間の男性と悲恋を繰り広げたり、恋愛との結びつきが強いです。
みなさんの海外妖怪データベースに、一つでも加えていただけたら本望です。